| ピアノ奏者は幅広いジャンルで30枚以上のCDをリリースし、現在はNHK教育テレビのクラシックピアノ番組で講師を務める小原孝さん、歌はかつてNHKのうたのおねえさんを務め、現在はミュージカルを中心に活躍する土居裕子さん。小原さんの軽妙な語りと演奏、土居さんの伸びやかで澄み切った歌声の共演で、クラシックからポピュラー、演歌まで「体にいいとされる高音域の曲」(小原さん)を中心に構成され、約600人の観客は“癒やし”のひとときを過ごした。
音楽療法とは、病気の部位などを物理的に治すものではなく、音楽を聴くことによって病気の人全体への作用を目的としたもの。心身の機能回復やその維持を図ったり、精神的な問題を緩和したり、生きる希望や意欲を高めたりするなど、病気の予防や改善を目指して音楽の効力を生かすセラピーの一種で、音楽を聴覚情報として聴く受動的療法と、歌を歌ったり楽器を演奏する能動的療法に分かれる。
具体的な応用分野には心身症や胃潰瘍(かいよう)、高血圧、気管支ぜんそく、円形脱毛症、神経性皮膚炎などの改善、認知症改善などで実際に効果を上げているという。
◆ CDロングヒット
音楽療法に詳しい埼玉医科大学の和合治久保健医療学部教授によると、音楽の要素の中で、交感神経系の病気にブレーキをかける(副交感神経の活性化)効果があるのは高周波音、倍音、ゆらぎのバランスという。なかでも、モーツァルトの曲には3,500メガヘルツ以上の高周波音が豊富に存在するため、
(1)耳から音として入った空気の振動が電気信号によって延髄と視床下部が刺激され、脳内の神経系に働きかける
(2)交感神経と副交感神経が徐々に規則正しいリズムで働くようになる
(3)免疫力の回復に効果を発揮する。
和合教授はさらに、4,000メガヘルツ域の高周波音がインシュリンを増加させることを確認しており、糖尿病の治療法としても有力視されている。
和合教授が制作したCDブック「モーツァルト音楽療法」はロングヒット。今回のコンサートでも理論を一部取り入れた。ただ、クラシック音楽だけでは幅広い人たちが気持ちよく楽しめないという懸念から、同様のセラピー効果が得られるポピュラー音楽や演歌なども加えた。
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